愛の雫

「何の事?」


疑問をそのまま口にしたあたしは、凪兄の答えを待った。


少しだけ気まずそうな表情をした彼が、眉をしかめながら申し訳なさそうな笑みを浮かべる。


「ほら……この間、駅で希咲を怒らせただろ?いつもと怒り方が違ったから、俺が何か気に障(サワ)る事したんだと思って……」


あたしの瞳を真っ直ぐ見つめながら話した凪兄は、申し訳なさそうな表情のまま続けた。


「本当はずっと、早く謝りたいと思ってた……。だから、今日駅で会えて本当に良かったよ……」