愛の雫

冷たい風が、肩を掠(カス)るように吹く。


強い風が肩だけにしかまともに当たらないのは、凪兄の背中に守られているから…。


あたし、マジでバカだ……


そんな事を考えている自分の思考回路がおかしい事に、自分自身で呆れてしまう。


「希咲、寒くない?」


「寒いに決まってるじゃん……」


いつも通りにぶっきらぼうな言い方をしたけど、心はちっともいつも通りじゃなかった。


あたしが悶々(モンモン)としている間に、凪兄の家の前に着いた。