愛の雫

「その時、こんな風に思わなかった?『彼女にもそんな風に触るくせに』って……」


「え……?」


「『あたし以外の子にも、そうやって優しくするくせに』って……」


早苗の口から次々と零される言葉に戸惑ったあたしは、目を小さく見開いたままで何も言えない。


「『触らないで』って思った後、『その手で彼女にも触るくせに』って思ったんじゃないの?」


そんなあたしを余所に、彼女は言葉の意味を噛み砕いたように言い直してから、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめ直した。