愛の雫

早苗はきっと、何に戸惑っているのかわからないあたしの気持ちを、少しずつ引っ張り出そうとしてくれていたんだ。


それが彼女の優しさなんだって事は、充分わかっているつもりだけど…


それでも自分の気持ちを伝える事に抵抗があるし、それ以前にまだ自分の本音がよくわからない。


「何があったの?」


だけど、優しく微笑みながら訊いてくれた早苗を見ていると、あの時の事を話してみようと思えて来て…


小さく息を吐いたあたしは、凪兄との駅でのやり取りを話す事にした。