愛の雫

「だから、違うんだってば!彼女がいるからとかじゃなくて、凪兄があたしに触ったから……」


そこまで言って、また言葉に詰まってしまった。


今日のあたしは、いつもに増して上手く話せない。


「触った?そんなの、別にいつもの事なんでしょ?希咲だって、よく『凪兄に腕掴まれた』とか言ってるし……」


「だから、そんなんじゃなくて……」


「じゃあ、何?」


穏やかに微笑みながら訊いた早苗を見て、彼女に完全に誘導されてしまったんだって事に気付いた。