人通りの少ない商店街を抜けながら、夜空を仰いだ。


深い藍色のキャンバスには星がちりばめられ、その中心に月が浮かんでいる。


月と星が綺麗に見られる冬の夜空は、やっぱり好きだと思った。


「ねぇ、家に来ない?」


「へっ?」


「今日はあたしだけだから、希咲の話もゆっくり聞けると思うし……」


「おばさんは?」


「旅行……」


小さく答えた早苗にそれ以上訊けなかったのは、彼女の母親が男と旅行に行ったんだとわかったから…。