愛の雫

ママの事を思い出したせいで、何だか胸の奥が苦しくなって…


それに連動するように鼻の奥にツンとした鋭い痛みが走り、目の奥がグッと熱くなった。


泣いちゃダメ……


心の中で自分に言い聞かせたあたしは、深呼吸をしてから顔を上げる。


大丈夫……


何とか落ち着きを取り戻すと、溢れ出しそうだった涙がゆっくりと引っ込んだ。


良かった……


もう、大丈夫……


ホッと胸を撫で下ろした時、受話器を置いた乃依さんが振り返って口を開いた。