愛の雫

無言のまま歩くあたしの隣で、凪兄が他愛のない話をしている。


面倒臭いからと言う理由で話の内容を半分くらいしか聞かないのは、別にいつもの事…。


早苗以外の人の話は聞き流す事が多いから、それは凪兄に限った事じゃない。


だけど…


今日は話の内容がどうとかよりも、凪兄の声がやけに耳障りに思えてしまう。


彼が当たり前のようにあたしの隣にいる事にも、ちっとも納得出来ない。


心の中に少しずつ苛立ちが募っていったあたしは、駅に着くまで一言も話さなかった。