愛の雫

「希咲」


ボーッとしていたあたしを呼んだ凪兄が、あたしをじっと見た。


「……何?」


「これからバイトなんだろ?時間は大丈夫?」


携帯で時間を確認すると、まだ16時過ぎ。


今日のバイトは17時からだから、少しだけ余裕がある。


「……まだ大丈夫。でも、ゆっくりしてる暇ないから」


あたしは最低限の言葉だけで答えて、さっさと歩き出した。


「あっ、希咲!待てって!」


すると、凪兄が慌てたように後を追って来た。