愛の雫

「じゃあ、もう行くね」


「うん」


「またね」


小さな笑みを浮かべながら手を振ると、絵里香はニコッと笑ってからあたしに背中を向けた。


そして、彼女は凪兄に頭を下げてから立ち去った。


絵里香の後ろ姿を見つめながら、取り繕うように貼り付けた笑みを外す。


それと同時に、浅いため息が漏れた。


いつの間にか、胸の奥のチクチクとした不思議な痛みは消えていたけど…


代わりに胸元がモヤモヤするのを感じて、何だか気持ちが悪かった。