愛の雫

「あの、誰か待っ……」


校門の少し手前で、絵里香が声を掛けた瞬間…


「あっ、希咲!」


塀に寄り掛かっていた凪兄が、彼女の言葉を遮った。


「えっ!?」


キョトンとした絵里香は、あたしを引っ張っていた手を離して振り返った。


「希咲、知り合いなの?」


「あ……」


あたしが言葉に詰まっていると、凪兄が笑顔を見せた。


「もしかして、希咲の友達?」


柔らかい笑みで訊いた彼は、絵里香に視線を遣った。