愛の雫

絵里香に釣られるように視線を前に遣ったあたしは、校門の前に立っている人を見て目を見開いた。


「凪兄……?」


「知り合い?」


呟くように零すと、絵里香がすかさず訊いた。


「え……?」


どうしよ……


校門にいるのは間違いなく凪兄だけど、絵里香に頷く事が出来ない。


だけど…


嘘をつく事も出来なくて、しばらく何も言えずにいた。


すると、絵里香は瞳を輝かせながら口を開いた。


「結構カッコ良くない?」