愛の雫

絵里香の言葉で、凪兄の事を思い出した理由はわからない。


だけど…


凪兄は、あたしの好きな人なんかじゃない。


実際、彼の事をそんな風に見るなんてどうしても考えられないし、それはきっとこれからも変わらない。


さっき凪兄の事を思い出してしまったのは、ずっとウザイと思っていた彼の事を最近は本気で嫌だとは思わなくなったから…。


そうとしか考えられない。


自分自身に言い聞かせるように自己完結したあたしは、ため息をつきながら机に突っ伏して目を閉じた。