愛の雫

「頼む……」


真剣な表情の凪兄は、あたしを真っ直ぐ見つめたままで…


懇願するような視線に押されるように、思わずコクリと頷いてしまった。


「約束、な?」


凪兄がそう言いながら安堵の笑みを浮かべた瞬間、胸の奥がキュッと締め付けられるように苦しくなって、何とも言えない気持ちに包まれた。


言葉に出来ない感情に、戸惑いが生まれる。


だけど…


ほんの少しだけ心が温かくなっている事も感じて、さっきの苛立ちは不思議と消えてしまっていた。