愛の雫

「そういえば、空見てたな」


不意に呟くように言った凪兄を、小首を傾げながら見た。


「昔もさっきも……」


「え……?」


「俺が『夏よりも冬の夜空の方が月と星が綺麗に見える』って言ったら、いつも家の窓から見てただろ?」


凪兄はフッと笑って、遠くを見つめながら柔らかい笑顔で続けた。


「希咲が『流れ星が見たい』って言い出した時は、夕方になっても帰りたがらなくてさ……。結局帰るのが遅くなって、二人して親にこっ酷(ピド)く怒られたんだよな……」