愛の雫

あたし達は、等間隔(トウカンカク)の街灯に照らされた住宅街を並んで歩いた。


「希咲とこんな風に並んで歩くのも、久しぶりだな。昔はよく一緒に歩いたのにな」


「そうだっけ?」


「そうだよ」


冷たく言ったあたしに、凪兄は優しく微笑んだ。


本当は、ちゃんと覚えていた。


子供の頃はいつも、凪兄と手を繋いで歩いていた事…。


だけど…


いつの間にか思い出に蓋をしてしまう癖が付いていたあたしは、それを素直に言えなかったんだ…。