愛の雫

「凪兄……」


「学校帰り?」


ブレザー姿の凪兄は、そう訊きながら歩いて来た。


「ううん、バイト」


「バイト?」


「うん、最近始めたの」


バイトの事をすんなり話してしまった自分に少しだけ驚きながら、目の前に立った凪兄を見上げると…


彼は優しく微笑みながら、あたしの頭をポンポンと撫でた。


「……何?」


「いや、何か久しぶりだな〜と思ってさ……」


小首を傾げたあたしに、凪兄が苦笑しながら答えた。