愛の雫

駅前の小さな商店街を抜けて踏切を渡ると、すぐ目の前のビルの中にカラオケボックスがある。


地元の中では一番小さい店だけど、アットホームな感じが人気みたいでわりとお客さんが多い。


あたしと早苗も、何度か来た事があった。


「ここの店長、見た事ある?」


「そういえば、ないかも……。希咲は?」


「あたしも何回か来てるんだけど、バイトっぽい人しか見た事ないんだよね〜」


小首を傾げながらあたしを見た早苗に答えて、エレベーターで三階に上がった。