他愛のない話をしながら歩いていたあたし達は、いつもと同じように住宅街の十字路で足を止めた。


「じゃあ」


「うん、今日はありがと」


「ううん!明日の面接、頑張ろうね♪」


あたしが頷くと、早苗は背中を向けて歩き出した。


夕陽に照らされる彼女の後ろ姿を見ていると、今朝の出来事を鮮明に思い出す。


躊躇ったのは、ほんの一瞬の事。


「早苗っ!!」


やり切れない気持ちが込み上げて来たあたしは、つい早苗の事を呼び止めてしまっていた。