「あのぉ~コイツが野球部に入りたいそうなんです」
水原の声はやっとおれの耳に届くくらい小さい。
「そうか!ようこそ野球部へ」
おれは面倒な話しは抜きにして即座に入部を認めた。
「その前に条件があります」
メガネをかけた小柄な男子は大きな声でおれの流行る気持ちに待ったをかける。
少し生意気な態度におれはムカついたが、せめてあと一人部員を!という思いが歯止めになって表情に不快な気持ちを出さなかった。
「条件ってなんだ?」
「ユニフォームを着てベンチに入れてほしいのですが、試合には出さないでください。それと練習には顔を出しますが、体は動かしません」



