水原の球を打たせているのに進歩が見られず、2週間で結果を求める方が酷かもしれないと思いはじめていた。


 それと部員が9人ギリギリというのはケガ人が出た場合を考えると怖い。


 運動神経の良さそうな数人に声をかけても「野球部?!……ごめん、いま忙しくて部活をやる時間ないんだ」と、喉の奥に物が詰まったような返事しかもらえなかった。


 どうやら野球部に入ると恥さらしになるというレッテルは、しばらく剥がれそうもない。


 あと2人入らないと水原に背番号『11』をやれず、お飾りでもいいから無理やり誘うしかないか……と思っていたところへ水原がおれの教室にやってきた。


 しかも黒縁メガネをかけた小柄な男子を連れて。


 驚きを隠すのに苦労しつつ、廊下の隅の方で話しを聞く。