「これはロージンとチョークの粉を混ぜたもので、ボールにつけて軌道をわかるようにします」
水原は鶏肉でから揚げを作るときみたいに、硬球をビニール袋に入れて揺らし、ピンクの粉を絡ませた。
「どうしてロージンとチョークの粉を混ぜるんだ?」
「ロージンは高いので、ピンクのチョークを砕いて粉の量を増やすために1:3の割合で混ぜています。ちなみにロージンの成分は炭酸マグネシウムが80パーセント、松脂が15パーセントで、チョークは炭酸カルシウムです」
おれの質問に水原はご丁寧に粉の成分まで教えてくれた。
キャッチボールをする感覚で投じたボールはホームベースの角を過ぎり、ガランと音をさせてドラム缶の底に落ちた。



