バトンクッキー



「その“コンドラ”とやらを見てみないとイメージできないな」

 おれは水原と原西の会話に割って入った。


 練習を早々に切り上げて、おれとゴリと原西で水原の後をついていく。


 学校から自転車で約30分の距離に水原の秘密の練習場があった。


 碁盤のマス目のように区画整理された土地で、以前水産加工場だった場所。


 工場を誘致しようと開拓した土地らしいが、遠くの方にポツンと木材工場があるだけで、ほとんどが野ざらしの空き地。


 潮風に運ばれてきた砂や土や雑草が織り交ざって荒れている。


 そんな遮蔽物がなにもない空き地でドラム缶がひとつだけ、意味ありげに置かれていた。