バトンクッキー



「よかったな」

 ゴリがポンとおれの肩を叩く。


「ああ、春より戦えそうだ」

 気の早いおれは頭の中で水原が7回くらいまで抑えて原西に繋ぐという勝ちパターンを妄想してしまった。


「水原、中学のときどこかで投げていたのか?」

 原西の質問に水原は首を振る。


「中学はどこを守ってたんだ?」


「野球部には入ってませんでした」


「ええ~」と原西は声を張り上げた。


 おれも一緒に声を上げそうになるのを堪えた。