バトンクッキー



 水原は柳沢のクセを見透かしたかのようにオーバースロー、スリーコォーター、サイドスローと3球それぞれ違う投球フォームで勝負してきた。


 全くタイミングが合わない柳沢は、ヘルメットを飛ばす大振りで三振。


「くそっ!」

 柳沢はくやしがり、落としたヘルメットを蹴飛ばす。


「おい、物に当たるな!」

 おれが注意しても柳沢の虫の居所は収まらず、バットを地面に叩きつける。


 そんなに悔しいならもっと工夫しろよ……と言いたいところだが、自分も結果を出しておらず、なにも言えない。