自分から弱音を吐いといて相手の気持ちを揺さぶり、利益を得ようとする手法はオレオレ詐欺と変わらんではないか。
けれど、チームメイトを減らして、公式戦に出られなくなることは避けたいという思いもあった。
おれがキレれば柳沢は一生野球をしなくなるかもしれないし、他人の人生を左右することなんてしたくなかった。
というわけで柳沢はめでたく5番という打順をゲットしたのである。
おれはゴリの画策によりキャプテンに指名された直後、ひとつだけチームメイトに条件を出した。
早いうちにポジションと打順を決めさせてくれるなら引き受ける、という条件。



