バトンクッキー



「いえ、それはフェアプレーに反するので……」

 水原はイヤイヤと頭を振る。


 女っぽい仕種にド突きたくなったが、フェアじゃないという台詞には男気を感じた。


「わかった。しっかりな」

 掴みどころのない性格の水原に励ましを送り、マウンドを下りた。


「おれの苦手なコース教えただろ?」

 ゴリがニヤニヤしながらおれに訊く。


「いや、拒否したよ」

 おれはマスクを被り、パン!とキャッチャーミットを叩いて構える。


 水原はゆっくりとしたモーションから今度は初球からサイドスローで投げてきた。


 ボールは外角低目。