バトンクッキー



「どういうことだ?」

 おれが眉を寄せるとゴリが耳打ちをしてくる。

「ストレートしか投げないからノーサインでいきましょうって言われたよ」


「なんだって?」


「横手からでもカーブを投げられるんだけど、真っ直ぐでどこまで抑えられるか試したい……そうだ」

 ゴリは水原の喋り方を真似して話す。


 キャプテンとして頼もしいピッチャーの存在はうれしいことだが、野球選手としておれは舐められている。


「おい、水原。なにやってんだ?」

 ファーストの柳沢の声でおれとゴリの会話は中断。