「みんなに教えてもいいですよ。初めて対戦するわけですし、条件としてはぼくの方が有利かもしれませんから」 水原の発言は球種くらい教えても打たれない、という自信が見え隠れする。 「おまえがそう言うなら、みんなに伝えるぞ」 「はい」 おれはみんなに水原が球種にカーブを持っていることを伝えた。 舐められてたまるか!とバットで素振りをはじめる奴が急増。 中でも原西はものすごい勢いでスイングしている。 久々に見た野球部らしい光景に、おれはちょっとした感動を覚えた。