「どうしたんですか?」 「一球一球ベンチからサインを出すのは試合の進行を妨げるので、やめてほしいそうだ」 松永先生が苦笑い浮かべながら答えた。 「えっ?」 「ぼくがサインを出していたのを6回裏あたりから気にしていたらしいです。この回も共南から伝令が出て審判になにかを言っていたのはそのためです」 三浦の顔には怒りと焦りが滲んでいた。 「早く守備に就きなさい」 審判から急かされ、おれは三浦に「もうすぐ試合は終るんだ。気にするな」としか言えなかった。