ベンチでみんなとハイタッチして、みんなの体温を感じていくうち、徐々に夢から現実の世界へ。


「キャプテン、2塁から3塁にいくとき、ヒヤッとしましたよ」


「スタート早過ぎですよ」

 とか誰かに言われたが、誰に返答すればいいのかわからなかった。


 ベンチに座っていても落ち着かない。


 小心者だな……と、自らに愛想を尽かせ、周りを見ると逆転した喜びはサッと消え、みんな試合を見ているようで見ていない。


 どこか上の空。


 勝利まであとアウト9つ。