渡辺は顔の各パーツが細くて表情が薄い。 コクリと頷いただけですっとバットを構える。 監督に従順なようだ。 ゴリが立ち上がり、ベンチのほうを見ると、三浦は腕を組んで悩んでいる。ゴリの視線に気づくとすまなそうな顔をした。 さすがにこの場面で全責任を背負わされる1年生の胸中は計り知れないものがある。 三浦もパソコンのゲームとは違う本物の重圧を感じていることだろう。 監督代理、またはヘッドコーチや作戦参謀といった肩書きをはっきり言い伝えたわけではないのだが、三浦はそうは思っていないらしい。