「バッチリ!」

 水原は屈託のない笑顔でOKサイン。


「ズボンは勘弁してやる」

 原西は自分の手柄にご満悦。


 前言撤回だ。もし水原の一連の行動が演技だとしたら、かなりの策士。


 初回のピッチングは緊張半分、ユニフォームのゴワゴワ半分が原因でピンチを招いたのだろう。


 気づけば2回表の先頭打者だった5番柳沢がアウトになって、ベンチに引き上げてくるところだった。


 三浦に聞くと、横に曲がるスライダーを投げられ、平凡な内野ゴロで片付けられたみたいだ。