「よぉ~し、ピンチを防いだぞ。流れはこっちだ。できるだけ加瀬に喰らいついて球数を多く投げさせることを心がけろ」 「おう!」 気迫みなぎる渦の中、輪の中で一人渋い顔をしている奴がいた。 「三浦、どうかしたのか?」 おれは盛り上がってきたチームの雰囲気を壊さないために、小さな声で訊く。 「いえ、あの、些細なことなんですけど……」 三浦は言葉を濁す。 「なにか気になることがあるなら、いまのうちに話してくれ」 「はい。あのぅ~福田さん」 三浦はゴリを呼ぶ。