六月になってまだ雨が一度も降っていない。


 梅雨とは無縁の北海道で恵まれた季節になったと思ったら、かわりにうだるような暑さが襲ってきた。


 季節のリズムが完全に狂っている。


 動けば不快な汗が出て、教室から体育館裏の部室までの距離を歩いただけで、無駄な体力を浪費したことに後悔する。


 後悔……それはおれたちのためにあるような言葉だった。


 もっと練習しとけば良かったかな。


 そんな気持ちを引きずりながら歩く自分は惨めだった。


 我が岩宮高校野球部は春季大会の支部予選1回戦で唯一勝てると思っていた相手にボロ負けして、さぁ、夏に向かって練習しよう!なんて気持ちは湧いてこない。