「次は送りか?」 「はい、先制点を取ってプレッシャーをかけます」 三浦は帽子、耳、口などを触って2番の太田にサインを送る。 試合3日前におれは三浦にサインを出すように命じた。 「えっ?どうしてですか?」と三浦は当然驚いていた。 「おまえが3年間水原と一緒に野球部を引っ張ってくれたら確実に強くなる。そのための布石だよ」 「スコアブックをつけないといけないんですけど……」 「そんなのは……高橋?に任せておけ」 おれの説得で三浦は断る理由を無くした。