「外野から犬を散歩させている男が練習を見るという光景は、そんなに珍しいことじゃないかもしれないけど……」 「写真に写っていた男と逃げた奴は親戚関係かもしれないな。野球好きなだけだって。さぁ、練習に戻るぞ」 三浦は釈然としない様子だったが、これで不確定な不安要素は排除できたはず。 「キャプテン、転んだんですか?」 水原がおれの膝の汚れを見ながら訊く。 おれは「ああ」とだけ返事した。 お地蔵さんのことを言えば、また霊だの呪いだという話しをぶり返してしまう。