おれたちは屈みながら前を進んだ。 三浦の後ろをついていくとバサッと草が顔を叩いてムズ痒く、地面も凸凹して歩きにくい。 「この辺にいたんですけど」 弧を描いて相手の背後に廻り込んだが、誰もいなかった。 おれたちは立ち上がり、辺りを見渡す。 「見ろ!あそこにいるぞ」 おれが三浦と水原の肩を叩いて顎で示した先に白いTシャツ姿の男の後ろ姿と、リードで繋がれた犬が駆け足で逃げているところだった。 距離にして100メートル。 追いつけるか微妙な距離。