「どこだ?」と、訊くと三浦はおれの袖を引っ張る。
「行きましょう」
もし指でもさしていたらチームメイト全員がそちらを向き、不穏な空気を悟られる可能性があった。
幽霊や呪いに確たる証拠がなければ、自分や水原も馬鹿にされると考え、三浦は行動を最小限に抑えてくれた。
「ゴリ、ノックを頼む」
「どこ行くんだ?」
久々にショートを守っていたゴリはもっとノックを受けたそうな顔をして訊く。
「ちょっと落し物を探してくる」
アドリブで出た言い訳は余計おれたちの行動に興味を注ぎはしないかと心配だったが、ゴリの「こっちに集中しろ!」という掛け声でおれたちへの奇異な視線は外された。



