バトンクッキー



 数日後、妙にそわそわするおれの姿がグラウンドにあった。


 いつもはゴリに任せているノッカーを自ら勤める。


 バットを持ち、手元でフワッと浮かせて打つ。捕れるか、捕れないかの微妙な距離に転がせていく。


 打ち終わったとき、チラッと校舎の時計を確認する。


 そろそろだな。


「キャップテン……」

 三浦が後ろからそっと声をかけてくる。


「坂本!いまの正面で処理できるゴロだぞ!」

 おれは三浦の声に気づかない“フリ”をして、ノックを続けた。