「あのとき三浦がああでも言わないと、おまえはアドバイスを聞き入れなかっただろ?三浦はおまえのためを思って嘘をついたんだ」 「でも、キャプテン……」 「三浦の嘘を信用したおまえの素直な気持ち、おれは嫌いじゃないぞ」 おれの最後の一言が効いたのか、柳沢は小さな声で「わかった」とだけ言って去っていった。 「キャプテン、ありがとうございます」 三浦に頭を下げられたとき、柳沢が連発した“嘘”という言葉が妙に耳に残った。 そうだ、嘘を本当にすればいいんだ。