「ちょっと待て、柳沢」 「コイツ嘘ついてたんだ」 「ああ、知ってるよ」と言いながら、おれは三浦の前に移動して壁になる。 「キャプテンはコイツが三冠王だって嘘ついたこと、知ってたのか?」 「そりゃ……気づくさ」 「畜生、信じたのはおれだけかよ」 柳沢は歯を食いしばって悔しがる。 きっと他のナインから「おまえ、三浦が三冠王と言ったこと信じたのかよ」とでも言われて笑われたのだろう。