バトンクッキー



 次の日の放課後、おれは水原と三浦を呼んだ。


 高校を舞台にしたTVドラマだと屋上で語り合うパターンをよく見かけるが、実際の学校では屋上へ出入りするドアに鍵がかけられている。


 TVドラマほど先生たちの信用は生徒にはない。


 屋上を開放したところで、柵をよじ登ったりして危険な遊びをするお馬鹿が現れるだけ。


 というわけで屋上手前の階段の踊り場に水原と三浦を呼び、チームメイトの前で迷信の類は公言しないように念を押した。


「迷信?」

 不満を口にしたのは三浦。


 奴からすれば迷信ではなく、岩宮野球部に見えない敵が勝利の邪魔をしているのは否定できない事実で、いまはもう確信しているのだろう。