その後、霊を見たとか、変なことは言い触らさなかった二人だが、3日経ってから前兆らしきことが起った。 「キャプテン、共南高校にすごいピッチャーがいるんです」 三浦が切羽詰った表情で報告してくる。 大会を目前に控え、三浦は支部予選の相手の偵察から帰ってきたばかりだった。 共南高校はおれたちが春の大会で負けた相手だ。 「どんな奴だ?」 「中学のとき、全国大会で投げたことのある加瀬というピッチャーで、親の事情で共南高校に編入してきたらしいんです」 「投球を見たのか?」