バトンクッキー



「すいません……」

 ションボリと体を小さくさせて詫びる水原を見て、言いすぎたかなと感じた。


 ピッチャーはデリケートだ。些細なことがピッチングに影響してしまう。


 しかも水原はコントロールが生命線のピッチャー。大会も近い。不安要素はできるだけ取り除いてあげたい。


「三浦、なんか解決策はないのか?」

 おれは降って湧いてきた難題?を三浦に丸投げした。


 三浦は顎に手をあてがい、考えるポーズで静止状態を維持する。さすがに非科学的なことを解決する術はないのだろう。


 そうこうしているうちにチームメイトが部室に次々入ってきた。


 会話が中断していてよかったと思う。