「ああ、おれも知ってる。長い歴史がある大リーグならそういう話しの一つや二つは出てくるだろうさ」
おれはロッカーから練習用のユニフォームに袖を通す。
「ロッカーの隅に落ちていたアルバムの写真、卒業アルバムの作文、これらを吟味すると我が野球部の呪いはシカゴカブスの“ヤギの呪い”に酷似しています」
三浦はすでに呪いを肯定している。
「酷似はしてないだろ」
「うちの野球部の先輩達が、見学していたこの男の人を追い払ったとか、練習中にボールが当たってケガさせて恨まれているとか、いろいろ考えられます」
「想像力が豊かだな。でも、どうしようもないだろ」



