「よぉ~く、この辺を見てください」 水原が指先で円を描くように写真をなぞる。 そこには襟元が破けたように広がっているシャツを着た細身の中年男と、お世辞にもカワイイといえない冴えない犬が写り込んでいた。 「気にするほどの写真じゃないと思うけどな」 「これ、間違いなく幽霊です」 水原は真顔で言った。 「馬鹿だなぁ、そんなわけないだろ」 おれは相手にしなかった。