バトンクッキー



 いや、慣れたのはニオイではなく、水原の存在自体ではないだろうか?


 水原のおかげで野球部には“やる気”というものが出てきた。


 “やる気”がないと、どんな相手でも戦えない。


 しかも、水原は三浦という新しい風を吹き込んでくれた。


「お先に失礼します」


「あまり投げすぎるなと原西に言っといてくれ。おまえもだぞ」


「はい。陽が完全に落ちたらやめることにします」

 水原が去り、部室におれだけが残された。