だから“背番号のついたユニフォームを着たいんです”と言ったんじゃないのか?
「だったら手本を見せてみろよ」
柳沢がバットを拾い、三浦に向かって突き出す。
そのとき、水原と三浦の表情が一瞬凍ったのをおれは見逃さなかった。
「三浦は風邪をひいているそうだから今度の機会に見せてもらえばいいだろ」
おれの咄嗟の嘘は柳沢をその場で黙らせることには成功したが、信用は勝ち取れていない。
「とりあえず言われたとおりにしてみろ。結果が出れば問題ないんだし」
とにかくキャプテンとしての立場を利用して押しまくる。
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