「おまえ運動が得意そうには見えないが、野球やったことあるのかよ?」 柳沢が馬鹿にした口調で訊く。 「ぼくの過去の実績を知りたいんですか?」 「ああ知りたいね」 「ぼくは昨シーズン、ホームラン数、打率、打点の三冠王に輝いた経験があります」 三浦が得意気に答えた。 昨シーズン?シニアリーグのことか? そんな実績があるなら休み時間にどうしておれに話さなかったのか疑問だ。 ユニフォームを着ることに憧れを抱いていて、一度も袖を通したことがない奴だと思っていた。